うつ病とコーチング
先日とある薬局にて、メーカー資料提供のお薬の勉強会があった。
「うつの症状別改善について」と題して、抗うつ薬として定評のある「ミルタザピン」(商品名:リフレックス)の臨床試験データの紹介があった。
冒頭では書籍「プライマリケアのためのうつ病診断Q&A,金原出版,1997」からの引用で、睡眠障害、疲労倦怠感、首肩のコリ、頭重頭痛などの症状について、患者自らの訴えは20%程度、しかし医師が問診で聞き出すと80〜90%症状がみつかるという話。
これって医療者側の「問診力」が無いと、患者さんの大切な症状、サインをスルーしてしまうってこと。 お薬以前に、これって結構な問題のはずなんだけど…。
これは、医師に限らず、薬剤師にも日常多く散見されること。
卒後経験の浅い若い方ならまだ、初々しくもあり、そこまで求めるのも仕方ないかなと思うけど、30代40代のバリバリの経験年数者、結構な年齢を重ねた方でさえ、全く出来ていない情景に遭遇すると悲しくなってしまう。
来局された方の表情が、お薬をお渡しするホンのつかの間に、みるみると曇っていき、最後は能面のように無表情で立ち去って行かれる姿は、そばにいてもいたたまれない、心苦しくなっちゃう。
そういう人ほどプライドも高く、すぐ不機嫌になり、怒り出す、取り付く島もなかったりする。
コーチングでいう、ゴールセッティング。
その医療従事者(医師、薬剤師…)は何処に、ゴールを持っているのか?
クライアント(患者)さんを何処にコーチング(導く)したいのか?
視線と態度は嘘つかない。
薬ばかりを見て投薬する薬剤師は、一方的にワンパターンの薬の能書きを話し終えたら、薬歴を書くネタのために台本質問をして終了。間が持たないため、背を向けそそくさと立ち去ろうとする。患者さんから質問でもあれば、一瞬顔が曇り、一般的な適当な話しをして煙に巻こうとする。患者さんの悩み問題に興味を持っていない。
パソコンにタイピングしながら投薬する薬剤師は効率よく記録することに(めんどくさい薬歴を手短に終わらせることに)興味はあるが、患者さんの気持ちは全く理解できない。心開いたホントの思いを引き出せない。その行為と態度が、警察の職務質問、事情聴取、容疑者の取り調べを受けていると同じ印象をあたえてることに気付いていない。
驚くべきはそれを推奨し強要する某大手チェーン薬局グループがあること。
医療従事者自身も、ゴールが無い人が多い。
ゴールが無いと、無意識は現状を維持しようとする。
毎日が同じ作業の繰り返しとなり、その最適化、効率化を求められ、パターン化された、作業ロボットのような医療従事者となる。
3日、3週間、3ヶ月、3年で一応一人前と言われる医療業界。
でも3年止まり。3年間で出来あがったパターンを日々繰り返すのみ。手持ちのスキル、情報はとっくに賞味期限切れているのに‥。
職歴○○年と言われても、スキルは3年生止まりの方が多い訳だ。
能書き(プライド)はすごいけれど。
心優しい医療人はうつになる。
ただでさえ医療の現場は「病場」の戦場の中。きつい人間関係、忙しい中、パターン化された、効率、ノルマを求められた作業のくりかえしやってたら、消耗するし、パワー取られるし、無理すると、弱いところに歪みがでる、心おかしくなっちゃう。無意識は病に逃げ道を求める。
ゴールセッティング。
医療人として、自らのスキルUPのためにも、心の健康のためにも、なにより患者さんのためにも、医療環境の健康のためにも、
コーチングスキルは必要だと思うのだけれど…。
医療従事者(医師、薬剤師、…)であるあなた、は、何処にゴールを持っていますか?
あなたの周りの(かかりつけの)医療従事者は、何処にゴールをセッティングしてるのでしょう?
本題のお薬の話しはこれから。この後、続きます。